製品の原価計算方法の一つです。FC(フルコスティング)ともいいます。
製品の原価に、材料費などの直接費用のほかに、労務費や製造経費などの間接費用も含めます。
この方法は、会社法、証券取引法、税務申告で用いられています。逆にいえば、税務署などに提出する決算書における製品原価は、全部原価計算で計算しなければならないことになっています。
この全部原価計算が儲からない原因となっています。
この方法によれば、たとえ売れなくても製品を作れば作るほど利益が出るという不思議な現象が発生してしまうのです。
労務費や製造経費が、期末棚卸高に振替られてしまうため、経費ではならなくなるからです。
また、製品1個製造すると比例して増える変動費と、家賃など比例しない製造経費が原価に混ざっていますので、製品を作れば作るほど、1個あたりの原価は下がることになります。
このような計算では、「何個売ればいくら儲かるのか」という簡単な計算もできないのです。
これでは、戦略を立てることはできません。
これが、「全部原価計算は儲からない」の理由なのです。